自転車の傘スタンドは違法?捕まる条件と各地域のルールを徹底解説

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自転車の傘スタンドは違法?捕まる条件と各地域のルールを徹底解説

こんにちは。ママチャリフリーク、運営者の「まゆ」です。

毎日の送り迎えや買い物で自転車を使っていると、どうしても避けられないのが「雨の日」の移動ですよね。片手で傘を差しながらの運転は、ふらついて怖いし、何より警察に見つかると注意されることもあって、ヒヤヒヤしながら運転している方も多いのではないでしょうか。

そんな時に頼りになるのが、自転車のハンドルに傘を固定できる「傘スタンド」です。「これなら両手が空くから安全だし、合法でしょ?」と思って使い始めたものの、ふと「あれ、でもこれって本当にどこでも使っていいのかな?」「高さとか大きさとか、細かい決まりがあるんじゃないの?」と不安になることはありませんか。

実はその不安、決して間違いではありません。自転車の傘スタンドは、単に使っているだけでOKという単純なものではなく、使用する傘のサイズや固定する高さ、さらにはお住まいの地域(都道府県)によっても「合法」か「違法」かが変わってくる、とてもデリケートなアイテムなんです。もし知らずにルール違反をしていたら、ある日突然警察官に止められてしまうかもしれません。

この記事では、そんなモヤモヤをスッキリ解消するために、道路交通法や条例に基づく正しいルール、絶対にやってはいけないNGな使い方、そして私が実際に試して感じた「本当に安全な雨対策」について、どこくわしくお話ししていきます。

ここがポイント
  • 道路交通法や条例に基づく合法・違法の境界線
  • 地域によって異なるルールの詳細と調べ方
  • 安全に使うための具体的な設置基準と注意点
  • 傘スタンド以外の雨対策アイテムとの比較

自転車で傘スタンドを使うと違法?ルールと罰則を解説

自転車で傘スタンドを使うと違法?ルールと罰則を解説
ママチャリフリーク:イメージ

「近所のママ友もみんな使っているし、ホームセンターでも売っているから大丈夫」
そう思っていませんか?実は、市販されているからといって、どんな使い方も許されているわけではないんです。

自転車の傘スタンドには、法律や各地域の条例に基づいた、かなり細かいルールが存在します。ここでは、道路交通法での扱いや地域ごとの温度差、そしてうっかり違反してしまいがちなサイズ制限について、徹底的に深掘りして解説していきます。

道路交通法と安全運転義務の基礎知識

まず最初に、一番気になる「法律」の部分からクリアにしていきましょう。日本の道路交通法という法律の条文を端から端まで探しても、実は「自転車への傘スタンド(固定器具)の装着を禁止する」という直接的な言葉はどこにも書かれていません。

「えっ、じゃあ完全に合法なの?」と思われるかもしれませんが、ここで安心するのはまだ早いです。法律の世界には「書いていないから何でもOK」というわけではない、独特の解釈が存在するからです。具体的には、以下の2つの条文が大きく関わってきます。

【傘スタンド使用時に問われる可能性のある法律】

  • 道路交通法 第70条(安全運転の義務):
    車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
  • 道路交通法 第71条(公安委員会遵守事項):
    車両等の運転者は、道路交通法やこの法律に基づく命令の規定のほか、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めた事項を守らなければならない。

少し難しい言葉が並びましたが、要するにこういうことです。
第70条は「ちゃんとハンドルやブレーキを操作できる状態で、周りに迷惑をかけずに運転しなさい」と言っています。もし傘スタンドを付けたことで、風に煽られてハンドルが取られたり、前が見えにくくてふらついたりした場合、この「安全運転義務」に違反していると判断されるわけです。

そして第71条は、「細かいルールは各都道府県の公安委員会(警察)が決めるから、それに従いなさい」という内容です。実は、傘スタンドのOK・NGの判断が地域によってバラバラなのは、この条文が根拠になっているからなんですね。

よく「片手運転(傘差し運転)は5万円以下の罰金」と言われますが、これは片手が塞がることでブレーキ操作ができなくなるため明確な違反です。一方で傘スタンドは「両手は空いている」状態になります。しかし、だからといって「安全」とは限りません。警察官が現場を見て「これは前が見えていないから危険だ」「風でふらついていて危ない」と判断すれば、たとえスタンドを使っていても指導の対象になりますし、最悪の場合は安全運転義務違反として検挙される可能性もゼロではないのです。

つまり、傘スタンドは「道具としては違法ではないけれど、使い方が悪ければ即違法になるグレーゾーンなアイテム」だと認識しておくのが、一番正しい理解だと言えるでしょう。

大阪や東京など地域で異なる公安委員会規則

先ほど触れた「都道府県ごとのルール(公安委員会規則)」について、もう少し詳しく見ていきましょう。ここが一番ややこしく、かつ皆さんが最も知りたいポイントだと思います。

日本全国どこでも同じルールなら分かりやすいのですが、自転車の積載(荷物を積むこと)に関するルールは、地域によって驚くほど温度差があります。引っ越しなどで県をまたいだ場合、前の地域では当たり前だったことが、新しい地域では「白い目で見られる」なんてことも珍しくありません。

関西エリア(大阪府・兵庫県など)の傾向

大阪といえば「さすべえ」発祥の地として有名ですよね。実際、大阪府や兵庫県などの関西圏では、傘スタンドの利用に対して比較的寛容な傾向があります。街を見渡しても、多くの方が当たり前のように利用しています。

大阪府道路交通規則では、積載物の制限について触れていますが、傘スタンドの使用自体を禁止する文言はありません。ただし、無条件でOKなわけではなく、「視野を妨げないこと」「安定性を損なわないこと」が大前提です。警察官も、危険な使い方をしていない限りは、むやみに取り締まることは少ないようですが、「絶対に捕まらない」という保証手形ではない点には注意が必要です。

首都圏エリア(東京都・神奈川県・埼玉県など)の傾向

一方で、首都圏はどうでしょうか。東京都や神奈川県では、関西に比べて少し空気が違います。
例えば東京都では、「交通の頻繁な道路」においては、自転車の運転に支障を及ぼすおそれのある物を積載してはならない、といった趣旨の規定があります。人通りや車通りが激しい東京の道路事情を考えると、大きな傘を広げて走ること自体が「他人の迷惑」になりやすく、警察官からの視線も厳しくなりがちです。

特に神奈川県警などは、ウェブサイトのQ&Aコーナーなどで「傘スタンドの使用は推奨しません」といったスタンスを明確に示していることがあります。これは「禁止」ではありませんが、「風でバランスを崩す危険性が高いため、できれば使わないでほしい」という警察からの強いメッセージとも取れます。

その他の厳しい地域(福井県など)

さらに注意が必要なのが、過去に非常に厳しい解釈が示された地域です。例えば福井県では、かつて「自転車に傘を固定して走行すること自体が条例違反にあたる」という見解が話題になったことがあります(※現在は解釈が変更されている可能性もあるため、必ず最新情報を確認してください)。

各地域の傾向をざっくりまとめると以下のようになります。

地域傾向と特徴
大阪府・兵庫県
愛知県など
【比較的寛容】
普及率が高く、街中でもよく見かける。ただし「視界確保」と「安全運転」は大前提。
東京都・埼玉県
千葉県など
【条件付きで可だが注意】
使用自体は禁止されていないが、交通量の多い場所や人混みでの使用は危険視されやすい。
神奈川県【厳しめ・非推奨】
県警の方針として「風に煽られる危険性」を強調し、レインコートの利用を強く推奨しているケースが多い。

このように、自分が住んでいる場所、あるいは自転車で走る場所がどの都道府県なのかによって、求められる「常識」が変わってきます。「みんな使っているから」ではなく、一度お住まいの地域の警察署のホームページで「自転車 積載制限」や「道路交通規則」を確認してみることを強くおすすめします。

(出典:警察庁『自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~』

傘スタンドの高さ制限は地上から2メートル以内

傘スタンドの高さ制限は地上から2メートル以内
ママチャリフリーク:イメージ

さて、ここからは法律論ではなく、もっと具体的な「数字」の話をします。実は、傘スタンドを使っている人が最も無自覚に違反してしまっているのが、この「高さ制限」なんです。

多くの都道府県の道路交通規則では、自転車に積載できる物の高さは「地上から2メートル以下」と定められています。この「地上から」というのがポイントで、自転車のタイヤが接している地面からの高さになります。

「2メートルなんて、そんなに高くないでしょ?」と思うかもしれません。でも、実際にシミュレーションしてみると、これが意外とギリギリ、あるいはアウトなケースが多いのです。

【高さ2メートルオーバーの危険なシミュレーション】

  1. 一般的な26インチのママチャリの場合、ハンドルの高さは地上から約100cm〜110cm程度あります。
  2. そこに「さすべえ」などの傘スタンドを取り付けます。自分の身長に合わせて視界を確保しようとすると、スタンドを結構高く伸ばす必要があります(プラス30cm〜40cm)。
  3. さらに、そのスタンドの上に傘をセットします。傘を開いた状態の頂点(石突き部分ではなく、開いた傘の山の部分)までの高さを足すと、簡単に200cm(2メートル)に迫ります。

特に、身長が170cm以上ある方が、頭が当たらないように高さを調整して設置すると、ほぼ間違いなく地上2メートルを超えてしまいます。これは立派な「積載物大きさ制限超過違反」となります。

街中でよく、ものすごく高い位置に傘を固定して走っている方を見かけますが、あれは法律的に見ると完全にアウトである可能性が高いです。警察官に止められてメジャーで測られたら、言い逃れできません。もし使うのであれば、自分の頭が当たらないギリギリの低さに調整し、かつ2メートルを超えないか、一度誰かに手伝ってもらってメジャーで測ってみる必要があります。

幅の制限を超えた大きな傘サイズは違反の対象

高さと同じくらい、いや、それ以上に周囲への危険性が高いのが「幅(横の長さ)」の問題です。
自転車の積載物の幅についても、各都道府県で明確なルールが決められています。一般的には以下の通りです。

【自転車の積載物の幅制限】
自転車の積載装置(ハンドルや荷台)の幅 + 左右0.15メートル(15cm)まで

ここで重要なのは、「自転車の車体の幅」ではなく、「積載装置の幅」を基準にしている点です。通常のママチャリの場合、積載装置とみなされるのは主に「ハンドル」か「リアキャリア(荷台)」です。

一般的なママチャリのハンドル幅は、だいたい55cm〜60cmくらいです。
仮にハンドル幅が60cmだとすると、そこに左右15cmずつのはみ出しが許容されるので、
60cm + 15cm + 15cm = 合計90cm
これが、法律上許される傘の最大直径となります。

さて、皆さんが普段使っている雨傘のサイズを思い出してください。
コンビニで売っているビニール傘(60cm〜65cmサイズ)なら、開いた時の直径はおおよそ100cm〜110cmくらいになります。

……お気づきでしょうか?

そうなんです。実は、一般的な大人用の雨傘を広げて自転車に固定した時点で、多くの場合は「幅の制限」をオーバーしてしまうのです。
ゴルフ用の大きなパラソルなんてもってのほかですし、男性用の大きめの傘もほぼ確実にアウトです。

厳密に言えば、左右均等にはみ出していればギリギリセーフの解釈ができる場合もありますが、傘スタンドはハンドルの片側に付けることが多いため、片側だけ大きくはみ出すことになります。こうなると、横を通る歩行者に傘の骨が接触したり、すれ違う自転車とぶつかったりするリスクが非常に高くなります。

「濡れたくないから大きな傘を使いたい」という気持ちは痛いほど分かりますが、傘スタンドを使う以上は、「子供用の傘」や「小ぶりの婦人用傘」を選ばないと、法律を守れないというジレンマがあることを知っておいてください。

強風時に傘を固定して走行する危険性と注意点

法律上の数値基準をクリアしていても、自然の力には勝てません。傘スタンド使用者にとって最大の敵、それが「風」です。

手で傘を差している場合、強い風が吹けば、手首の力を逃がしたり、傘をすぼめたりして、とっさに風を受け流すことができます。しかし、ガッチリと金具で固定された傘スタンドには、その「逃げ」がありません。

強風時に傘スタンドを使用することは、自転車に「帆(ほ)」を張って走るヨットのような状態にするのと同じです。
例えば、ビル風や突風を横から受けたとします。その瞬間、傘が風をまともに受け止め、その強大なエネルギーがそのままハンドルに伝わります。

【実際に起こりうる事故のシナリオ】

  1. 走行中、左側から強い風が吹く。
  2. 固定された傘が風に押され、ハンドルが強制的に右(車道側)へ切られる。
  3. 自転車の制御が効かなくなり、バランスを崩して右側に転倒する。
  4. 後ろから来ていた自動車やバイクと接触する。

想像するだけでゾッとしますよね。でも、これは決して大げさな話ではありません。
風速5メートル程度の、日常的に吹く「やや強い風」であっても、自転車のバランスを崩すには十分な威力があります。

道路交通法第70条の「安全運転義務」は、こうした状況にも適用されます。もし強風の日に傘スタンドを使っていて、風に煽られてふらついているところを警察官に見られたら、「危険行為」として警告を受けるのは当然です。
「今日はちょっと風があるな」と感じたら、どんなに面倒でも傘スタンドの使用は諦め、レインコートに着替えるか、そもそも自転車に乗らないという判断が、あなた自身と家族の命を守ることになります。

子供乗せ自転車で傘スタンドを使う際のリスク

子供乗せ自転車で傘スタンドを使う際のリスク
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私自身もそうですが、保育園や幼稚園の送り迎えで「子供乗せ電動アシスト自転車」を使っている方は多いと思います。重たい買い物袋と子供を乗せて走るパワフルなママチャリ。これに傘スタンドを付ければ最強……と思いきや、この組み合わせこそが最も危険なパターンだと言わざるを得ません。

その理由は「重心」と「重量」にあります。

【子供乗せ自転車 × 傘スタンドのリスク】

  • 重心が高く不安定:
    子供乗せ自転車は、チャイルドシートの位置が高いため、もともと重心が高くふらつきやすい構造です。そこにさらに高い位置に傘を開くことで、重心はさらに上がり、振り子の原理で横揺れが激しくなります。
  • 転倒時のダメージ:
    子供を乗せている時に転倒すると、子供は受け身を取ることができません。ヘルメットをしていても、投げ出されたり、重い車体の下敷きになったりする危険があります。
  • 視界の遮断:
    前の座席に子供を乗せ、さらにその上に傘があると、運転者の視界は極端に狭くなります。足元の確認もおろそかになりがちです。

メーカーによっては、電動アシスト自転車の取扱説明書に「ハンドルに傘スタンド等の固定器具を取り付けないでください」と明記している場合もあります。これは、ハンドルの強度や操作パネルへの干渉、そして何より転倒リスクを考慮してのことです。

もしメーカーが禁止しているのに無理やり取り付けて事故を起こした場合、製品保証が受けられないだけでなく、万が一の事故の際も「不適切な使用」として過失を問われる可能性があります。大切なお子さんを乗せている時こそ、傘スタンドではなく、しっかりとしたレインカバーとレインコートで完全防備することをおすすめします。

神奈川など取り締まりが厳しい地域の現状

先ほど少し触れましたが、地域ごとの「取り締まりの温度感」についても、もう少し深掘りしておきましょう。特に神奈川県にお住まいの方は要注意です。

神奈川県警は、自転車の交通事故防止に非常に力を入れています。過去の広報資料や交通安全キャンペーンなどでも、「傘差し運転の禁止」と合わせて、「固定器具(傘スタンド)の使用についても推奨しない」という姿勢を一貫してとっています。
これは、神奈川県が坂道が多く、道が狭いエリアが多いという地理的な事情も関係しているかもしれません。

実際に、横浜や川崎などの都市部では、雨の日に警察官が交差点に立ち、自転車への指導を行っている姿を見かけることがあります。「推奨しない」というのは「禁止」ではないものの、現場の警察官の裁量次第では、「風でふらついていた」「人混みで危険だった」という理由で呼び止められ、厳重注意を受ける可能性は十分にあります。

また、東京都内でも、駅前の人通りが多い商店街などは「危険箇所」とみなされやすく、傘を広げて走ること自体がマナー違反としてトラブルになるケースも増えています。
「近所の人が使っているから」ではなく、自分が走るルートがどんな場所なのか(狭い道か、人通りが多いか、風が抜ける場所か)を考え、少しでも不安要素があるなら使用を控えるのが賢明です。

自転車の傘スタンドが違法にならないための正しい使い方

自転車の傘スタンドが違法にならないための正しい使い方
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ここまで、「違法になる可能性」や「危険性」について厳しめにお伝えしてきました。「じゃあ結局、傘スタンドは使っちゃダメなの?」と不安になった方もいるかもしれません。
ですが、条件さえ満たせば、そしてルールを守って正しく使えば、非常に便利なアイテムであることも事実です。後半では、どうしても傘スタンドを使いたい場合に守るべき「安全な使い方のポイント」や、より安全な代替案についてお話しします。

視界を妨げない設置方法と安全な使い方のコツ

傘スタンドを使用する際、最も大切であり、かつ警察官が一番チェックしているポイント。それは「前方の視界が確保できているか」です。

雨に濡れたくないあまり、傘を極端に前傾させて(前に倒して)セットしている方をよく見かけます。顔が濡れないので快適かもしれませんが、これでは自分の目の前に「傘の壁」を作っているようなものです。信号機はおろか、目の前から歩いてくる歩行者さえ見えなくなってしまいます。

【合法かつ安全に使うためのセッティング術】

  1. 傘の角度は「水平」か「やや上向き」に:
    前に倒しすぎないことが鉄則です。自分の目線よりも傘の縁が上に来るように調整しましょう。顔が濡れるのが気になる場合は、サンバイザーなどを併用するのがおすすめです。
  2. 透明なビニール傘を使用する:
    これは非常に有効なテクニックです。不透明な布製の傘だと視界が完全に遮られますが、透明なビニール傘なら、ある程度前方の状況を確認できます。視界確保の観点からも、安全性は格段に上がります。
  3. 取り付け位置の工夫:
    ハンドルのど真ん中に付けると、どうしても支柱や傘の中心が視界の邪魔になります。製品によっては少し横にオフセットして取り付けられるものもあるので、自分が運転しやすい位置を探してみてください。

「自分が見えている」だけでなく、「周りからも自分の顔が見える」状態が理想です。アイコンタクトが取れない自転車は、歩行者やドライバーにとっても恐怖の対象であることを忘れないでください。

傘の代わりにレインコートやカッパを使うメリット

ここまで傘スタンドの使いこなし術をお話ししてきましたが、ぶっちゃけた話をさせてください。
私が長年ママチャリに乗り続けてたどり着いた結論、それは……
「やっぱりレインコート(カッパ)が最強」だということです。

「えー、脱ぎ着が面倒くさい」「髪型が崩れるし」「蒸れて暑い」……分かります。その気持ち、痛いほど分かります。私も最初はそう思って傘スタンド派でした。でも、レインコートには、そのデメリットを補って余りある圧倒的な「安全メリット」があるんです。

【レインコートが傘スタンドより優れている点】

  • 風の影響をほぼ受けない:
    これが最大の理由です。体に密着しているので、強風の日でも煽られることなく、晴れの日と同じ感覚で安定して走れます。
  • 両手が完全にフリーになる:
    ハンドル操作、ブレーキ操作、そしてとっさの手信号や子供への対応。すべてのアクションが遅れることなく行えます。
  • 法律や条例を気にする必要がない:
    高さ制限? 幅制限? 視界確保? そんな心配は一切無用です。どんなに厳しい地域でも、レインコートで捕まることは100%ありません。堂々と走れます。
  • 全身を守れる:
    傘スタンドは、横からの雨には無力です。結局、足元や背中はビショ濡れ……なんてことも。レインコートとレインパンツ(ズボン)を組み合わせれば、台風並みの雨でも中の服はサラサラです。

最近では、自転車用に開発された高機能なレインポンチョもたくさん出ています。前カゴまですっぽり覆って荷物を守れるタイプや、通気性が良く蒸れにくい素材のもの、おしゃれなデザインのものなど、選択肢は豊富です。
「安全をお金で買う」と思って、一度しっかりしたレインコートを試してみてください。その快適さと安心感を知ったら、もう傘スタンドには戻れなくなるかもしれませんよ。

100均やおすすめの傘固定器具の強度と安全性

「とりあえず試してみたいから、100均でいいや」
そう考えている方、ちょっと待ってください! 傘スタンドに関しては、100円ショップのアイテムで代用するのは非常におすすめできません。

自転車用の傘スタンドには、想像以上に大きな負荷がかかります。走行中のガタガタという振動、傘が受ける風圧、これらが全て固定器具の一点に集中します。
100均で売られている「傘ホルダー」のような商品は、あくまで「収納用(傘を持ち運ぶためのもの)」であったり、強度が不十分な簡易的なものであったりすることがほとんどです。

もし走行中に固定器具が破損したらどうなるでしょうか。
外れた傘が車輪に巻き込まれて急ブレーキがかかり、前転倒してしまう(ジャックナイフ現象)。あるいは、傘が飛んでいって後ろの人に刺さってしまう。そんな大惨事を引き起こす可能性があります。

【選ぶなら「正規品」一択】

もし購入するなら、必ずホームセンターや自転車専門店で売られている、数千円クラスの「自転車専用傘スタンド」を選びましょう。代表的なのは「さすべえ」などの有名メーカー品です。

これらの正規品は、以下の点で安全性が考慮されています。

  • 強固な固定力: ハンドルにガッチリと食い込み、簡単にはズレません。
  • 角度・高さ調整機能: 自分の体格に合わせて微調整が可能です。
  • 耐久性: 金属や強化プラスチックを使用しており、風圧や振動に耐えられます。

数千円をケチって怪我をしては元も子もありません。道具選びは慎重に行いましょう。

警察に捕まる前に知りたい指導警告と罰金の内容

警察に捕まる前に知りたい指導警告と罰金の内容
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「もし違反したらどうなるの?」
最後に、気になるペナルティについても知っておきましょう。

自転車の違反には、これまで主に「赤切符(刑事罰)」が使われてきましたが、これは手続きが重いため、よほど悪質なケースでない限り適用されにくい実情がありました。
しかし、今後は「青切符(反則金制度)」が自転車にも導入される動きが進んでいます(2026年頃を目処)。これが導入されると、信号無視や一時不停止と同じように、比較的軽微な違反でも警察官が現場でキップを切り、反則金を納めなければならなくなります。

現状では、傘スタンドの使用方法が悪質(視界不良、ふらつき運転など)だと判断された場合、まずは「指導警告票(イエローカード)」を渡されて注意を受けるケースが一般的です。しかし、度重なる警告を無視したり、具体的な危険行為があったりした場合は、「5万円以下の罰金」等の刑事罰の対象になる可能性は法的に十分あり得ます。

さらに怖いのが「民事責任」です。
もしあなたが傘スタンドを使用していて、歩行者にぶつかって怪我をさせてしまったとします。
その際、相手側の弁護士や保険会社から「違法な積載(傘スタンド)によって視界が悪かったことが事故の原因だ」と指摘されたら、どう反論しますか?
この主張が認められれば、あなたの「過失割合」は大幅に高くなります。つまり、支払わなければならない賠償金が跳ね上がるということです。数千円のスタンドを使った代償が、数百万円の賠償金になる……そんな最悪のシナリオも、決して他人事ではないのです。

自転車の傘スタンドが違法か迷った時のまとめ

長くなりましたが、今回の内容をまとめます。

【この記事の重要ポイント】

  • 傘スタンド自体は、多くの地域で「条件付き合法」だが、絶対安全ではない。
  • 特に「高さ2m以下」「幅+30cm以内」の積載ルールは厳守しなければならない(大きな傘はNG)。
  • 強風時の使用は、法律に関わらず自殺行為なので絶対にやめる。
  • 地域(都道府県)によってルールが違うので、必ず自分の地域の条例を確認する。
  • 最も安全で確実、かつ法的な心配がないのは、スタンドではなく「レインコート」を使うこと。

「ちょっとそこまでだから」という油断が、大きな事故やトラブルを招くこともあります。自分の身を守るため、そして周りの人の安全のためにも、リスクを正しく理解して道具を選んでください。
個人的には、これを機におしゃれなレインコートを一着新調して、雨の日もスマートに安全に走り抜ける「かっこいいママチャリライダー」を目指すのが一番かなと思います!

正しい知識を持って、安全な自転車ライフを送ってくださいね。

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